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スキンケアをする女性

巷には多くの健康法や美容法が紹介されていますが、その中には古くからの知識を応用したものも存在しており、その一つがインド発祥の医学であるアーユルヴェーダです。日本ではインド式オイルマッサージとして認識されているものですが、発祥の地であるインドでは今日の中医学と同様にとらえられており、アーユルヴェーダ医師が国家資格として認められています。さらに同じ南アジアのスリランカではいくつもの伝統医療が保護されており、これもその一つとなっています。

アーユルヴェーダの歴史は古く、医学的体系としてまとめられたのは紀元前5世紀から6世紀ごろのことと考えられており、これは中国大陸の中国医学、古代ギリシャに起源をもつイスラーム文化圏の伝統医療であるユナニ医学と並ぶ歴史ある医学です。同じくインド発祥の仏教が成立する以前から継承されてきた歴史から、仏教医学やチベット医学に大きな影響を与えたとされており、イスラーム文化圏のユナニ医学や中国医学とも互いに影響しあいながら今日に伝わっています。名称の由来は、現在もインドにおいて公用語の一つとされているサンスクリット語で、生命を意味するアユースと、知識を意味するヴェーダという言葉が合わさった物です。医学であるのに生命の知識というニュアンスなので不思議に思われるかもしれませんが、アーユルヴェーダは病気を治療するだけではなく、生命科学に加えて哲学の概念を持ち、生活の知恵をも伝える医学体系あることを表しています。それは、この医学が健康を構築する要素としてとらえているのが、心と体の調和だけでなく、行動や環境との調和であるためです。また、現在では病気の予防を重視することは当然になっていますが、アーユルヴェーダは古くから予防医療と同じ考え方をしています。その考え方の特徴は、人間には風と火、そして水からなるドーシャと呼ばれる3種類のエネルギーがあり、そのバランスの調和が健康の要素であると考えている点です。ドーシャは体の働きと結びつけられることもあり、風はヴァータと呼ばれ運動エネルギーを表し、火はピッタと呼ばれ熱エネルギーを表します。水はカパと呼ばれる体の結合エネルギーで、関節を滑らかに動かす力や粘液を調整する力を表します。

現代の西洋医学とは異なる概念を持つインド発祥の医学であるアーユルヴェーダが日本に伝来した歴史は、実はとても古く、7世紀から8世紀、飛鳥時代から奈良時代にかけて仏教と共に仏教医学として伝わりました。このことは、平安時代に編纂された日本最古の医学書である医心方にも記録されています。しかしながら、日本では古墳時代の5世紀に中国医学が伝えられて以降、これが生薬を用いた処方や鍼灸の治療を行う漢方として発展したため、インド医学や仏教医学は普及していませんでした。再び日本にアーユルヴェーダが伝わったのは大正時代で、昭和初期にはインド医学の古典がサンスクリット語から日本語に翻訳されましたが、当時は仏教研究の延長として論文が発表されるに止まっていたので、一般的に普及するには至っていません。

日本でアーユルヴェーダが広まったのは平成に入ってからで、それまでは一部の研究者が論文の公表や現地視察を行っていただけです。広まったきっかけは1990年代にアメリカでヨガのブームが巻き起こったことに端を発し、アメリカから日本へと紹介されました。しかし、ブームによって紹介されたアーユルヴェーダは伝統医療ではなくリラクゼーションとして広まったため、インドで行われている伝統医療としてのアーユルヴェーダと、日本において行われている施術は異なっています。施術を受ける時には、そうした違いに注目するのも興味深いでしょう。